Y-House in Kichijyoji ｜ 吉祥寺 Y邸
Musashino,Tokyo,2010-2011

「三つの屋根で建物を分割する」
井の頭公園に近い静かな住宅地に建つ木造２階建ての住宅である。
１階はLDKとSOHO可能な書斎、２階は寝室と子供部屋と水回りという構成。寝室と子供部屋にはロフトを設けている。
施主は切妻屋根が好きで、屋根が目立つ家を希望した。
また、道路側に広い間口に対して奥行きが少ない敷地だったことから、外からできるだけ大きな家に見えない建物を要望した。

一つの大屋根の家では周辺から大きな建物に見えてしまう。
そこで、建物をいくつかのボリュームに分割し、周辺環境に対し威圧的にならない形状を模索した。
結果、大きさの異なる三つの切妻のボリュームを少しづつずらしながらつなげ、一つの建物とするアイデアに行き着いた。
さらに、それぞれの切妻ヴォリュームの屋根勾配を、5/10、3/10、4/10と少しづつ微妙に変えることで、
周辺環境に馴染み易い自然なやわらかさを持ちながら、見る角度によって建物の形状が変化する複雑性を併せ持つ建築をめざした。

１階リビングは床下をつくらず、床レベルをダイニングより40㎝下げることで天井高さを確保しながら、
施主がこだわったコーナーウィンドと一体化したベンチをしつらえた。
また、高断熱高気密仕様の要望があり、Low-Eガラスの木製サッシと蓄熱式床暖房を採用し、柱は全て１２０角（通常は１０５角）として、
その１２０㎜の厚みのまま外壁と屋根にセルロースファイバー断熱材を充填している。